「個人でネットショップを開業したいが、費用や手続き、副業として続けられるのか不安」という方に向けた記事です。
結論から言うと、個人・個人事業主・副業のいずれの立場でも、必要な手続きと費用感を押さえれば、無理のない規模からネットショップを始めることができます。
この記事では、個人ならではの開業手続き、費用の目安、副業との両立、開業後に後悔しないためのポイントまで、実務目線で解説します。
結論:個人のネットショップ開業は手続きと費用感の把握から
個人でネットショップを始める場合、法人と違って開業手続き自体は非常にシンプルですが、開業届の提出や確定申告など、個人事業主として押さえておくべき事務手続きがあります。
また、副業として始める場合は、本業との両立や就業規則の確認も欠かせません。
この記事を読むことで、個人としてネットショップを開業する際に必要な手続き、費用感、続けやすい始め方が具体的に分かります。
なお、どのプラットフォームを選ぶべきかという観点は、個人向けにShopifyがおすすめな理由を解説した記事でも詳しく取り上げています。この記事では、手続きや費用、副業との両立など、個人ならではの実務的な論点に絞って解説します。
個人でネットショップを始めるモチベーションは、趣味の延長、収入の柱を増やしたい、将来の独立を見据えてなど人それぞれですが、いずれの場合も「事業として継続できる仕組み」を最初に作っておくことが、後悔しないための共通のポイントです。
開設後に毎月かかる費用の内訳は、ネットショップ運営費用の内訳で月商別に解説しています。
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個人でネットショップを開業する場合、次の手続きを押さえておく必要があります。
- 税務署への開業届の提出(現行の期限は開業した年分の確定申告期限まで)
- 青色申告承認申請書の提出(希望する場合。開業届とは期限が異なるため別途確認)
- 特定商取引法に基づく表記の準備
- 古物を扱う場合は古物商許可の取得
- 食品を扱う場合は、営業許可・営業届出・食品衛生責任者の要否を保健所に確認
開業届の提出自体は無料で、税務署の窓口や国税庁のe-Taxを通じてオンラインでも手続きできます。
国税庁の開業届の案内では、提出期限は開業した年分の確定申告期限までとされています。
一方、青色申告承認申請は原則として申告を希望する年の3月15日までで、1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内です。開業届の期限と混同せず、希望する申告方法を先に決めましょう。
扱う商材によっては古物商許可や食品営業許可など、業種特有の許認可が必要になる場合があるため、事前に自分の扱う商材がどの許認可に該当するか確認しておきましょう。
古物商許可は、中古品やリユース品を仕入れて販売する場合に必要になる許可で、管轄の警察署に申請します。必要書類や審査期間は管轄の警察署に確認し、許可が必要な営業は取得後に開始しましょう。
食品販売は、製造・加工の有無、保管方法、包装状態などによって必要な手続きが異なります。自治体の食品営業の案内を参考に、実際の営業地を管轄する保健所へ事前に確認しましょう。
また、消費者庁の通信販売ガイドに沿って、販売者情報、価格・送料、支払方法、引渡時期、返品条件などを整えます。返品特約は最終確認画面でも確認できるようにし、実際の注文画面を通して表示を点検してください。
副業として始める場合に確認すべきこと
会社員が副業としてネットショップを始める場合、まず勤務先の就業規則で副業が許可されているかを確認する必要があります。
副業が許可されている場合でも、本業に支障が出ない範囲で運営することや、競業避止義務に抵触しないかなど、事前に確認しておくべき点があります。
公務員の場合も、職種や所属先によって兼業の許可・承認の扱いが異なるため、販売を始める前に所属先の担当部署へ確認してください。
副業が発覚した場合の懲戒リスクを避けるためにも、グレーな判断はせず、不明点は人事担当者に直接確認することをおすすめします。
勤務先に相談するときは、扱う商品、週の作業時間、顧客対応の時間帯を整理すると、業務への影響を具体的に説明できます。
誠実な対応が、後々のトラブルを避ける一番の近道です。
ネットショップを開設する基本の流れは、ネットショップの始め方・作り方で5つのステップに分けて解説しています。
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個人の場合、法人のように登記費用がかからないため、開業費用を大きく抑えられるのが特徴です。
開業費用は「ショップを用意する費用」と「商品を売るための資金」を分けて考えます。次の表はサービスの料金例と見積もりの考え方で、仕入れや配送、広告などを含む開業総額ではありません。
| 始め方 | 制作・開設にかかる費用 | 別に確保するもの |
|---|---|---|
| BASEのスタンダードプランで自作 | サービスの初期費用・月額費用は0円 | 仕入れ・材料、撮影、梱包、販売時の手数料など |
| 撮影など一部だけ外注 | 撮影点数・作業範囲に応じて見積もり | 自分で担当する設定・商品登録の作業時間 |
| NESTIEへShopify構築を依頼 | ライト98,000円(税込)/スタンダード498,000円(税込) | Shopify利用料、ドメイン、有料テーマ・アプリ、決済手数料など |
料金は2026年10月12日確認。BASE公式料金とNESTIEのShopify構築プランで最新の内容を確認できます。NESTIEの料金は各プランの基本範囲に対する制作費で、追加機能や移行などは個別見積もりです。
副業として小さく始めたい場合はBASEなどの月額無料プランから、将来的に本業化を見据えている場合は、最初からShopifyで基盤を作っておくという選択肢もあります。
どちらのプラットフォームも比較的簡単に始められますが、拡張性やデザインの自由度、将来の独立を見据えた際の移行しやすさという点では違いがあるため、自分が目指す方向性に合わせて選ぶことが大切です。
初期費用に加えて、開業後に継続的にかかる運営費用(決済手数料や配送費など)も見込んでおく必要があります。月々の費用感は月商によって変わるため、自分の想定売上に近いシミュレーションを別途確認しておくと安心です。
開業資金がない場合の始め方
開業資金にあまり余裕がない場合は、在庫を持たない受注生産や委託販売の仕組みを取り入れることで、初期費用をさらに抑えることができます。
月額無料プランで小さく始め、売上を見ながら少しずつ設備投資をしていく進め方が、個人が始める際のリスクを抑えるうえで現実的です。
ハンドメイド作品は手持ちの道具で少量から試せる場合がありますが、材料に加え、工具、撮影、梱包、試作品の費用も計上しておきましょう。
せどりや輸入転売など仕入れが必要な業態の場合は、最初は少量の仕入れにとどめ、売れ行きを見ながら徐々に仕入れ量を増やしていくことで、在庫リスクを抑えられます。
クラウドファンディングなどで事前注文を受ける方法もありますが、手数料や試作費がかかり、入金前に支払いが必要な場合もあります。生産の実現性、入金時期、納期、返金条件まで確認して判断しましょう。
副業として無理なく続けるためのポイント
副業としてネットショップを続けるうえで、本業との両立は最大の課題になります。
受注対応や発送作業に多くの時間を取られると、本業に支障が出たり、体調を崩してしまったりするリスクがあります。
梱包・発送を代行サービスに依頼する、注文受付から発送までの流れを極力自動化するなど、自分の時間をかけずに運営できる仕組みを早い段階から整えておくことが、副業として長く続けるコツです。
特に平日は本業がある場合、受注から発送までの対応は休日にまとめて行うことになりがちです。あらかじめ「発送は週2回」などのルールを顧客に明示しておくことで、対応の遅れに対するクレームを防ぎやすくなります。
在庫管理や受注対応を効率化するアプリ・ツールを活用し、限られた時間の中で無理なく運営できる仕組みを作ることも重要です。自分に合ったツールをじっくり探してみましょう。
本業化を見据えるかどうかで判断が変わる
副業としてずっと小規模に続けたいのか、将来的に本業化を目指すのかによって、初期段階での投資の仕方が変わってきます。
本業化を見据える場合は、早い段階からブランドの世界観づくりや顧客データの蓄積に力を入れておくと、規模拡大のタイミングでスムーズに移行できます。
反対に、あくまで趣味の延長や小遣い稼ぎとして続けたい場合は、無理に規模を拡大せず、自分が対応できる範囲内で商品数や販売量をコントロールすることが、長続きさせるうえで重要です。
「どこまで大きくしたいか」を最初に決めておくことで、途中で方向性に迷うことが少なくなります。
個人でECサイトを始める前の準備は、個人でECサイトは作れるかを解説した記事でまとめています。
あわせて読みたい 個人でECサイトは作れる?始める前の準備とShopifyがおすすめな理由 個人でECサイトを持ちたい方に向けて、法人化せずに始める場合に必要な準備や注意点を整理したうえで、将来の事業拡大にも対応しやすいShopifyをおすすめする理由と料金プラン、始め方… 記事を読む個人でネットショップを始める際に後悔しやすいポイント
個人での開業でよくある後悔として、次のようなものが挙げられます。
- 在庫を多く抱えすぎて資金繰りが苦しくなる
- 確定申告の準備を後回しにして年度末に慌てる
- 梱包・発送作業に想定以上の時間を取られる
- 安易な価格設定で利益がほとんど残らない
「とりあえず始めてみる」ことは大切ですが、最低限の資金計画と時間の見積もりだけは事前に行っておくことで、こうした後悔の多くは防ぐことができます。
価格設定で失敗しないために
個人の開業で特に多い失敗が、原価や手数料を十分に計算せずに価格を決めてしまい、売れているのに利益がほとんど残らないというケースです。
商品原価に加えて、決済手数料、配送費、梱包資材費、プラットフォーム利用料までを含めた総原価を算出したうえで、目標とする利益率を確保できる価格を設定することが重要です。
セール時の値引き幅もあらかじめ想定しておくと、値引き時に赤字になってしまうことを防げます。
特にハンドメイド作品など、自分の作業時間がそのまま原価に含まれる商材の場合、材料費だけで価格を決めてしまうと、実質的な時給が最低賃金を大きく下回ってしまうこともあります。
自分の作業時間も原価の一部として組み込んだうえで、無理のない価格設定を行うことが、長く続けられる事業にするための重要なポイントです。原価計算表をエクセルなどで作成しておくと管理しやすくなります。
個人のネットショップ開業に関するよくある質問
手続きで混同しやすいのが、開業届と青色申告の申請、所得税と住民税の申告です。副業という呼び方だけでは税務上の扱いは決まらないため、働き方や所得の状況に合わせて確認しましょう。ここでは、開業前に整理しておきたい3つの疑問に答えます。
開業届を出さないとどうなりますか?
開業届は、対象となる事業を始めた場合に必要な届出です。提出していない場合は、開業日や事業内容を整理し、税務署に手続きを確認しましょう。
開業届と青色申告承認申請書は別の手続きです。青色申告には申請・承認と所定の記帳などが必要で、開業届を出しただけで自動的に適用されるわけではありません。
副業の場合、確定申告は必要ですか?
給与を1か所から受け、その給与が源泉徴収の対象となる会社員の場合、給与・退職所得以外の所得の合計が年間20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。
20万円は売上ではなく必要経費を引いた所得の基準で、すべての人に共通する免税枠ではありません。医療費控除などのために確定申告をする場合は、20万円以下の所得も含めます。住民税の申告については市区町村へ確認してください。
申告要否は国税庁の給与所得者向け案内、還付申告をする場合は20万円以下の所得に関するQ&Aも確認してください。
確定申告の際は、売上や経費を記録した帳簿の作成が必要になります。会計ソフトを使えば、日々の入出金を記録しておくだけで、確定申告書類の作成まで自動化できるため、早い段階から導入しておくことをおすすめします。
領収書や請求書などの証憑は、紙・電子データにかかわらず一定期間の保存義務があります。日頃から整理しておくことで、確定申告の時期に慌てずに済みます。
確定申告の期限を過ぎると延滞税などのペナルティが発生する場合があるため、毎年の申告時期はカレンダーに登録するなどして忘れないようにしましょう。余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが大切です。
個人事業主としてどこまで規模を大きくできますか?
個人事業主のまま法人と同等の規模で運営することも可能ですが、売上が一定規模を超えると、税負担の面で法人化した方が有利になるケースが多くなります。
法人化の判断は、売上だけでなく利益、役員報酬、社会保険、会計・設立費用などで変わります。共通の金額だけで決めず、個人のままの場合と法人化した場合の手取りと負担を税理士に試算してもらいましょう。
法人化すると、社会的信用度が上がって卸取引や法人向け販売がしやすくなる、経費計上の幅が広がるといったメリットがある一方、社会保険への加入義務や、赤字でも発生する法人住民税の均等割など、個人にはなかった負担も生じます。
メリット・デメリットを踏まえたうえで、事業規模に応じたタイミングで判断するのが現実的です。判断に迷う場合は税理士への相談をおすすめします。
まとめ:個人の開業は手続きと無理のない規模感がカギ
個人でネットショップを開業する際は、開業届などの事務手続きを押さえたうえで、自分の資金力や本業との両立を考慮した無理のない規模から始めることが大切です。
副業から始めて、売上が伸びてきたタイミングで本業化やプラットフォームの見直しを検討するという段階的な進め方も、リスクを抑えるうえで現実的な選択肢です。
個人としての開業や、将来の本業化を見据えたShopify構築について相談したい場合は、気軽にお問い合わせください。
小規模な段階からでも、将来を見据えた基盤づくりについて相談いただけますので、まずはお気軽にどうぞ。
まずは開業届の準備と、無理のない資金計画・時間配分を整理することから始めてみてください。
個人だからこそ、身の丈に合ったペースで着実に育てていく姿勢が、結果的に事業の継続につながります。焦らず一歩ずつ進めていきましょう。





